この作品では、紫外線に反応して蛍光する糸を、展示空間やオブジェに張り巡らしています。紫外線を当てると、糸でできたポリゴンを形成する線は蛍光し、元の物質の形状が見えなくなりなり、物質から質量、重量や体積は取り除かれ、仮想的なポリゴンの世界に変換されます。

加工された画像やCG映像が氾濫する現代に生きる私たちは、現実と創造の境界が曖昧になっているように思えます。鑑賞者は変換された曖昧な空間に入り込み、2次元と3次元、デジタルとアナログ、想像と現実の狭間に迷い込むような不思議な感覚を体験します。この作品が、私たちの身の回りにある物質や空間、そしてそれらと私たちの関係を見つめ直すきっかけになればと思っています。

DLECTRICITY 2021

 世界中のニュイ・ブランシュ芸術祭に触発されたDLECTRICITYは、2012年、2014年、2017年の過去3回に渡り大規模な光をベースとしたアート＋テクノロジーのフェスティバルを開催しています。ミッドタウン・デトロイト社（MDI）がプロデュースするこの壮大な屋外ビジュアルライト＋アートの祭典は、デトロイトの文化センターとDTEビーコンパークで開催されています。ビデオアート、ニューメディア、レーザー、インタラクティブなデザインとエンジニアリング、魅惑的なパフォーマンスなど、画期的なインスタレーションを通して、来場者は光の風景に没頭することができます。

糸、UVライト、既製品、木材

DLECTRICITY 2021 [ウェイン州立大学・デトロイト、アメリカ] 2021
Photo: Nadir Ali / David Lewinski Photography