視覚情報とその処理によって脳がイメージを作り出す仕組みへの関心を元に、光や透過性の素材など物質感の希薄な素材を用い、デジタルとアナログ、二次元と三次元、仮想空間と現実空間の関係性を探求しています。 今回展示している暗闇で紫外線に反応して蛍光する糸を用いて既製品オブジェを三角形のポリゴンで描き出し、CGのような非物質的な概念の彫刻を作り出している「Polygon-Mesh」のシリーズでは、脳が視覚から得られた情報の中で境界線を強調し、三次元空間内での面を基調とした世界を再構成しようとする特性に着目し、最も基本的な面の要素である三角形を用いて目の前に見えている光景を二次元的に変換しようと試みています。また、コンピュータが外部の映像や情報を内部に取り込んで処理をするコンピュータビジョンとコンピュータ内部のデータを人間の目に見せるための技術であるコンピュータグラフィックスという双方向の技術への関心から、3Dスキャナーで既製品オブジェをスキャンして取得した3Dデータをコンピュータの仮想空間の中で変容させ、3Dプリンターで印刷することで再度現実空間に出現させる新作を展示します。
デジタル技術を活用し、現実空間と仮想空間の間を行き来しながら制作された作品が私たちの身体感覚を揺さぶり、目の前に広がる世界をどのように理解しようとしているのか考えることのきっかけになればと思います。
PLA、糸、UVライト、既製品
Rematerialize [カモガワ アーツ & キッチン / Kyoto] 2024